Top 技術紹介 粒子径制御技術

Technology技術紹介

粒子径制御技術

粒子径制御技術は、中和反応工程での反応条件を制御することにより、粒子の大きさをコントロールする技術です。田中化学研究所はこの技術を活用することによりさまざまな粒径の粒子を作製し、電池の高容量化に貢献しています。

概要 正極材や前駆体の粉体を製造する際、とくに反応制御などを行わずに作製すると粒子がいびつな不定形となることは、粒子形状制御技術ページで触れましたが、粒子の大きさについても同様です。特に反応制御を行わずに作製すると、粒子形状だけでなくサイズも不均一でバラバラな正極材ができあがります。しかし当社では独自ノウハウで反応工程を制御することにより、作製される沈殿物(正極材)の粒子サイズの大小や粒子ごとのサイズの均一度などをコントロールすることに成功しました。当社製品の粒子サイズは10ミクロン前後のものが多いですが、必要に応じて作りわけることが可能です。
この技術のメリット 電池の高容量化に貢献。また粒径を小さくすると、重量あたりの粒子の表面積が大きくなり、電池出力向上につながるという効果も期待できます。
この技術が利用
されている電池
リチウムイオン電池(Li-ion battery)
ニッケル水素電池(Ni-MH battery)

参考資料

粒径 : 大

粒径 : 中

粒径 : 小

教えてプラスくん!

粒子のサイズと電池の容量の関係性は?

粒子形状制御技術ページでも解説したとおり、たくさんの正極材と負極材が入っている電池とあまり入っていない電池を比較した場合、たくさんの正極材と負極材が入っている電池のほうが多くの化学反応が起こせるため電池容量が大きくなります。
そこで電池メーカーは、決められたサイズの容器の中になるべくたくさんの正極材と負極材を詰めこむ(=充填する)ことでこれまでよりも高容量な電池をつくりたいと考えています。

お客さまが設計している電池サイズ(スペース)によって、効率よく無駄なく充填できる粒子のサイズや組み合わせ、割合はそれぞれ異なってくる。

ここまで聞くと、どんな電池サイズ(スペース)であっても隙間なく充填するために、粒径は小さければ小さいほど良いのではと思われがちですが、一概にそういうわけでもありません。電池に充填される負極材などの他の材料との兼ね合いや充填効率、現実的に小さくできる粒子サイズの限界など、さまざまな要因から必ずしも最小サイズの粒子を詰め込むことが最良とも限らないのです。そこで電池の設計にあわせて、粒子のサイズやその割合を自由にコントロールし、それらを組み合わせて充填していくことができる正極材が求められます。

当社では、粒子形状を均一に球状化する「粒子形状制御技術」と、この「粒子径制御技術」を併用することで、電池メーカーの設計思想(電池の製造方針)に沿って、「無駄なく効率よく充填できる正極材」の製造を可能にしています。