社員インタビュー

RESEARCHER INTERVIEW
自産学官連携で進める
リチウムイオン電池
「評価技術」の開発。
技術開発部 技術開発2チーム
T.S
(理工学部 工業化学科卒業 2001年入社)

新材料開発になくてはならない「評価技術」。
産学官連携でそのシステム構築に取り組む。

“密室”の中で、何が起きているのか?

より高い性能と安全性を目指して、新しい電池材料が毎日のように開発されています。田中化学研究所もそんな電池材料メーカーの一社です。新しい素材を使ったり、組成や物性に工夫を施したり…と日々、新しい電池材料をつくり出しています。
しかしそうして開発された材料が、ではどのような性能・機能を発揮してくれるのか。それはその材料を使って実際に電池をつくってみるまで分かりません。電池は通常、金属などのパッケージの中に正極材・負極材・セパレータ・電解液などを閉じ込め、化学反応を起こすことで発電するのですが、そのメカニズムは極めて複雑なものです。電池という“密室”の中で、材料は化学反応しながらどんどん変化していきます。反応の際に発生するガスも影響を及ぼします。また材料の種類によっても反応の仕方が大きく変わってきます。だから新しく開発された材料のポテンシャルを知るためには、実際に電池をつくってみる必要があるのです。
けれどいきなり工場で電池をつくるわけにはいきません。そこで実際の電池と同等の変化を起こせる“密室”をつくり、その中で化学反応を起こしながら、材料がどのように経時変化していくのか、どんな性能を発揮するのかを計測・評価する必要があります。密室の中で起きているメカニズムを解明し、新しい電池材料の性能と機能を評価することーーそれが今、私のやっている仕事です。

材料開発の鍵を握る評価技術

電池の材料開発にとって「評価技術」は極めて大きな意味を持ちます。当社はこれまで何段階ものステップを経て、ようやく現在の水準にまで到達することができました。最初は電池の材料のひとつとなる「正極材」だけを評価する「電極評価システム」を構築。その後数年にわたって「電気化学評価」に関する経験とノウハウを積み重ね、2011年から福井大学と連携してようやく「電池評価システム」を構築できる段階にまで到達したのです。電池を構成する「電極=パーツ」レベルから「電池=完成品」レベルで、材料が電気化学的にどのような挙動を示すのかを把握できるようになりました。

新材料開発のスピードアップに貢献

電気自動車やハイブリッドカーの普及に伴い、何度も充放電できる「二次電池」の技術開発には世界の熱い視線が注がれています。長時間安全に使える電池、何度も繰り返し使える電池、より大きなパワーを発揮できる電池…そのために日々、新しい材料が生み出され、材料に適した電池評価が検討されています。「評価技術」はそうした開発行為を支援する上で、なくてはならない技術なのです。
今後はこの「電池評価システム」をさらに実際の電池のレベルに近づくようブラッシュアップすること。密室中のメカニズムをより精緻に分析する手法を構築することで、新材料開発をサポートしていきたいと思います。

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